マツダは、自動車の排出ガスから二酸化炭素(CO2)を回収する装置を開発する。排気系部品にCO2吸着剤を組み込み、分離したCO2を車両に搭載したタンクに貯蔵する。まずはスーパー耐久シリーズで実車に搭載し、完成度を高めていく。将来的にはカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)燃料と組み合わせ、走れば走るほどCO2が減る「ネガティブエミッション技術(NETs)」を自動車で実現したい考えだ。
24~26日にスーパー耐久シリーズ第2戦が開かれた富士スピードウェイでマツダの開発陣が明らかにした。レース車両に搭載する具体的な時期は明らかにしなかった。
オンボードのCO2回収装置は、火力発電などで用いられるCO2回収機構や貯蔵タンクを小型化した装置。搭載スペースの制限が少ない船舶などで搭載の検討が進むが、自動車への適用に向けた開発実例はほとんどない。
大気中からCO2を回収する方法と排ガスから回収する方法がある。マツダは、よりCO2濃度が高い排ガスから回収する。高温下でも効率よくCO2を吸着する吸着剤技術の開発や最適なタンクレイアウトを研究し、まずはレース車両に適用する。
マツダは、藻類をベースとしたバイオマス(生物由来)燃料の高性能化や製造効率の向上といった燃料の進化でCO2の実質排出を90%削減する方針。これに加え、オンボードCO2回収装置で20%のCO2を削減し、NETsを自動車で目指していく。
NETsをめぐっては、トヨタ自動車も昨年暮れにCO2回収装置をレース車両に搭載した。空気を大量に取り入れるエンジンの特徴を生かしてCO2をフィルターに吸着させ、エンジンオイルの熱を使って分離する仕組みだ。