マツダは、2024年に自社のクリーンディーゼル車を欧米で普及が進むバイオディーゼル燃料「HVO(水素化分解油)」に対応させる方針を明らかにした。スーパー耐久レース参戦車「マツダ3」の燃料として耐久性や品質、燃費などの検証に着手した。レースにHVOを利用することで、国内でバイオディーゼル燃料の認知度を高める狙いもある。

 マツダがレースに用いるHVOは、生産能力で世界シェア4割を誇るフィンランド・ネステ社のバイオディーゼル燃料。HVOは、食料と競合しない非可食油や廃棄される食用油などを原料とする。ネステ社のHVOは、原料調達から供給までの二酸化炭素(CO2)排出量が石油由来の軽油に比べて93・7%削減できるという。

 23年は、欧州や米国で500万㌧以上のHVO生産が計画されており、安定供給が期待される。環境意識が高い欧州市場では、政府の補助などで一般の軽油と価格差がほとんどなく、HVO燃料を扱うガソリンスタンドが増えている。欧州メーカーのディーゼル車はHVO対応車が多く、マツダ車も公道やレースでの使用実証を通じて長期の品質保証を確立し、24年にも正式に対応する方針だ。

 マツダは、21年からバイオディーゼル燃料を使用したレース参戦を続けている。経営戦略本部の木下浩志CN・資源循環戦略部長は「バイオ燃料は既販車のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を実現する有効な方法だ」と話す。今後も、ユーグレナがマレーシアに設置するバイオ燃料プラントのプロジェクトに出資するなど、供給側と連携して次世代燃料の開発や普及への取り組みを進めていく。