トヨタ自動車は11、12の2日間、富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開かれたスーパー耐久シリーズ最終戦に開発中の水素エンジンを搭載した「GRカローラH2コンセプト」で参戦した。前回と比べ、エンジン出力の向上や軽量化、航続距離伸長などの改良を果たした。さらに、大気中の二酸化炭素(CO2)を回収する装置を初めて搭載し、走行中にCO2をほぼ排出しない水素エンジンと組み合わせることで、走行中の「カーボンマイナス」を実現した。

 トヨタは、2021年から水素エンジン車でスーパー耐久シリーズに参戦している。23年シーズンからは燃料を従来の気体水素からエネルギー密度が高い液体水素に切り替え、レースの過酷な環境下で技術を磨いている。モリゾウ選手として参戦する豊田章男会長は「レースで鍛えることで開発のスピードが上がっている」と話す。

 新たに搭載したCO2回収装置は、空気を大量に取り入れるエンジンの特徴を生かしてCO2をフィルターに吸着させ、エンジンオイルの熱を使って分離する仕組み。装置のための動力源を必要としないことも特徴だ。現時点で回収できるCO2は限定的だが、ガソリン車にも装着できる技術だという。