アンダーボディーなどで採用が進むギガキャスト
電気自動車(EV)の生産方法として、アルミ大型一体鋳造技術「ギガキャスト」の採用が広まっている。トヨタ自動車や日産自動車が車体成形で採用する方針のほか、ホンダも電池ケースで導入を見込む。部品点数を大幅に削減できるギガキャストは、生産工程や供給網(サプライチェーン)など、従来の車づくりを大きく変える可能性を秘めている。
先行する米テスラは、フロント(前部)やリア(後部)のアンダーボディーをダイカストマシンで鋳造することで、100点を超える部品を一体成形している。「モデルY」や「サイバートラック」などの量産車ですでに採用済みだ。
中国では、型締め力が1万㌧級以上のダイカストマシンも普及してきた。米中勢は、工場をゼロから造る「グリーンフィールド投資」を用いるため、従来の内燃機関車向けの工場より設備投資額を大幅に抑えられる。部品同士を溶接するプレス工程なども不要となり、生産工程の簡略化にもつながる。
ただ、日本勢がギガキャストを用いるには、これまで培ってきた生産技術や供給網を大幅に見直す必要がある。一体成形手法を用いているため、事故時などにユニット単位での交換が必要となり、修理や保険の制度設計でも新しい手法が求められるだろう。
日本勢にとっては課題が多いギガキャストだが、市場で存在感が高い中国EVの競争力の一翼を担っていることもあり、今後の商品力を左右するコア技術であることは間違いない。技術を早期に手の内化した上で、最適な投資判断を行う必要があるだろう。