コロナ禍の際、自動車業界の生産制約要因にもなった半導体。その後、需給は緩んだが、SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)や自動運転などの流れの中、先端品の研究開発や供給確保は引き続き課題になる。車載半導体をめぐる状況も大きく動く年になりそうだ。
クルマの「頭脳」に当たり制御などを担うロジック半導体関連では、大型プロジェクト2件が節目を迎える。次世代半導体の受託生産を目指すラピダス(小池淳義社長、東京都千代田区)は2027年の量産開始に向け、2㌨(ナノは10億分の1)㍍世代品のパイロット生産を始める計画。資金調達、顧客確保など事業本格始動へ正念場になる。出資するトヨタ自動車やデンソーのさらなる参画も注目される。
半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、熊本第1工場が昨年末に量産を開始し、今年から生産が本格化する。工場運営会社にやはりトヨタやデンソーなどが出資しており、製品供給を受ける。第2工場も近く着工される見通しだ。
自動車向けに先端SoC(システム・オン・チップ)の研究開発を進める自動車用先端SoC技術研究組合(ASRA、山本圭司理事長=トヨタ自動車シニアフェロー)の進展も期待される。
電力制御などを受け持つパワー半導体では昨年末にかけて相次いだ連携の動向にも注目が集まる。パワー半導体は欧米勢がシェアで優位な中、デンソーと富士電機、デンソーとローム、東芝とロームといった連携が動いている。国内勢をリードする三菱電機も再編に意欲を示す中、オールジャパンの動きへ進む可能性もある。