車載用電池を手掛けるスウェーデンの新興企業ノースボルトは21日(現地時間)、日本の民事再生法にあたる米国連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請したと発表した。電気自動車(EV)向け電池では、中国勢との競争激化や量産体制の遅れなどにより資金繰りが悪化していた。破産法申請により、約2億4500万㌦(約378億円)の新規資金調達が可能となる見通しで、事業継続へのめどをつけた格好だ。
同社は、2016年10月に米テスラの元幹部であるピーター・カールソン氏が創業した欧州発の新興電池メーカー。中国メーカーが車載電池市場でシェアを高めていく中で、欧州発のサプライチェーン(供給網)の構築により、中国勢の依存度を低減できることが期待されていた。
ただ、自社工場の量産体制の遅れや中国勢の安価な電池の台頭、加えて近年のEV需要の低迷なども影響して資金繰りが悪化。今回の破産法申請に至った。同社の本社はスウェーデンだが、米国に子会社や資産があるため申請要件を満たすという。
今後、ノースボルトは調達可能な資金約2億4500万㌦を経営再建に充てる考え。同資金には、同社の既存顧客で商用車メーカーのスカニアが企業の事業運営を支援する「DIPファイナンス」という形で拠出する1億㌦(154億円)も含まれる。
ノースボルトのトム・ジョンストン会長は「(更生会社として)電池生産のための欧州域内における産業基盤を確立するという使命は継続する」とコメントした。