トヨタ自動車は3月13日、愛知県豊田市の本社で春季労使協議会の4回目(最終回)を開き、労働組合の要求に対して満額回答した。満額回答は4年連続となる。同社は17種類の職種・階級ごとに要求額を示しており、最大で2万8440円の賃上げとなる。加えて、初任給の引き上げや定年後再雇用者の処遇改善など人材への投資策を回答し、「人への投資」を強化する方針を示した。

トヨタは全組合員平均の賃上げやベースアップ(ベア)の水準は示していないが、賃上げ原資の規模は比較可能な1999年以降で過去最高の水準となる。最も賃上げ金額が高いのは若手社員が多い事技職の指導職で、賃上げ額は前年より1万9070円多く、若手への配分を重視した。一時金も過去最高となる基準内賃金7.6カ月分で妥結した。

会社側が提示した施策について、初任給の引き上げ額は最終決定していないものの「競合他社に比べて競争力のある水準に見直す」(総務・人事本部の東崇徳本部長)方針だ。トヨタの大卒初任給は現在、22万8千円。スズキは今春闘で25万1千円に引き上げると発表している。

人材のリソーセス確保策として、10月をめどに定年後再雇用者の処遇改善を実施する。一律ではないものの再雇用者の処遇は賃金などが半分程度となるため「2~3割程度は退職してしまう」(東本部長)現状を鑑みて賃金などを見直すほか、65歳以上の再雇用についても職場のニーズに沿って拡大する方針だ。