ホンダの労使交渉(21日)

 自動車メーカーの労使は21日、2024年春季労使交渉(春闘)で、要求提出後1回目の団体交渉を開いた。ホンダやマツダは3月13日の回答指定日を待たずに満額回答した。賃上げ要求はホンダが1989年以来、マツダが2003年以来の高い水準だったが、満額回答することにより、従業員のモチベーション向上や優秀な人材確保につなげる。早期に高水準の回答を示すことでサプライヤーなどに賃上げを波及させる効果も見込む。

 ホンダは、ベースアップ(ベア)1万3500円を含む賃上げ総額2万円と年間7.1カ月の一時金を求める組合要求に満額回答した。また、総額2万円の賃上げとは別に、22年の交渉で妥結した「能力開発施策」として1人あたり1500円を給与に上乗せする。賃上げ率は5.6%。賃上げ、一時金ともに集計可能な89年以来、過去最高だ。

 ホンダが要求提出後、初の団交で満額回答するのは2年連続となる。青山真二副社長は「14日の団体交渉で労使双方の課題認識が大枠で一致できることが確認できたため」とコメントした。

 マツダも21日の第1回労使協議会で満額回答した。早期回答は05年以来となる。組合は、定期昇給分とベアを含めた総額で1万6千円、一時金は年間5.6カ月を要求していた。賃上げでは、現行の人事制度を導入した03年以降では過去最高額となる。竹内都美子執行役員は「従業員が頑張った成果を早期に分かち合うことなどを考えて早期回答とした」と語った。

 自動車春闘は14日に各労組が一斉に要求を提出。回答指定日の3月13日に向けてホンダやマツダを含めた各労使は協議を継続していく。