トヨタ労組の鬼頭圭介執行委員長

トヨタ自動車労働組合(鬼頭圭介執行委員長、組合員6万8千人)は、2024年の春季労使交渉で大幅な賃上げを要求する。同社は17種類の職種・階級ごとに賃上げ要求額を示しており、若手が多い事技職の「指導職」では23年比で3倍の水準となる。年間の一時金要求額は、過去最高となる基準内賃金7.6カ月分を要求する。

トヨタ労組は1月29日、春闘要求の執行部案を組合員に提示した後、愛知県豊田市で開いた記者懇談会で要求内容を明らかにした。鬼頭委員長は、高負荷生産が続く中で従業員の努力によって生産性が向上したことや物価上昇など経済環境を踏まえ「労働の対価として賃金の価値が下がっているのは事実だ」と大幅な賃上げ要求の理由を述べた。

賃上げ原資の規模は比較可能な1999年以降、過去最高の水準になるという。事技職の指導職の引き上げ額は前年より1万9070円多い2万8440円とした。光田聡志書記長は「間接部門で働く大卒の若手のところで競合他社に対して賃金の競争力を高める」として、若手社員への配分を重点的に行う方針を示した。

トヨタは全組合員平均の賃上げやベアの水準は示していないが、昨年に引き続き賃金の底上げに当たるベースアップ(ベア)を求めることを明らかにした。

一時金は、24年3月期の営業利益が4兆5千億円と過去最高となる見通しであることを踏まえて、過去最高だった07年(7.2カ月)を上回る7.6カ月を要求する。