トヨタ自動車は1日、2024年3月期連結業績見通し(国際会計基準、IFRS)の上方修正を発表した。売上高に相当する営業収益は前回予想比13.2%増の43兆円に、営業利益・当期利益はそれぞれ同50%増の4兆5千億円、同53.1%増の3兆9500億円に引き上げた。円安に加え、商品構成の改善や海外を中心とした値上げ効果で利益を上積みする。いずれも過去最高を大幅に更新する。宮崎洋一副社長は「この収益を日本の自動車産業やモビリティビジネスの開拓のための投資に使い、ステークホルダーと持続的に成長していきたい」と語った。

 前回の決算発表時では、通期の営業収益を38兆円、営業利益3兆円、当期純利益を2兆5800億円としていた。これまでの過去最高値は、営業収益が23年3月期の37兆1542億円、営業利益と当期純利益が22年3月期の2兆9956億円、2兆8501億円だった。

 業績予想の上振れ要因として金額ベースで大きいのは為替だ。今回、ドル円の想定為替レートを従来の1㌦=125円から141円に見直したことなどで「為替変動の影響」が前回予想比で1兆1800億円増の営業増益要因になる。加えて商品構成の改善や価格改定の効果も同3700億円分の営業増益となる。

 一方、生産や販売の通期計画は前回見通しから据え置いた。地域別では、市場が低迷している中国や東南アジアなどで下方修正するものの、需要が堅調な北米や欧州などでカバーする。宮崎副社長は「ここまでは計画を上回るペースで来ているが、中国やベトナムなどマーケットが変調をきたしてきており、楽観はできない」と語った。

 23年4~9月期の業績も営業収益、営業利益、当期純利益それぞれで過去最高を更新した。営業利益の増減要因として、資材費高騰で3150億円のマイナス影響を受けたが、販売増や価格改定など営業面の努力で1兆2900億円分の利益を確保した。

 宮崎副社長は「ステークホルダーのおかげで持続的成長の土台ができた」と総括。その上で、株主還元や政策保有株の縮減などを通じて「モビリティカンパニーの新たなフォーメーションを構築する」と語った。