東レは11日、次世代電池用に開発している「イオン伝導ポリマー膜」について、従来品からイオン伝導度を10倍に高めることに成功したと発表した。全固体電池などの金属リチウム負極電池や、リチウム空気電池など2液系電池向けとして、早ければ2020年代後半にも量産体制を確立したい考えだ。

 短絡(ショート)の原因となる、充放電時のデンドライト(樹枝状結晶)の成長を抑える無孔膜フィルムだが、イオン伝導性を微多孔製品に近づけた。22年に発表した従来品と同様、「ホッピング伝導」を用いて正極と負極間でイオンを行き来させる。アラミドフィルムの量産技術やシミュレーションも活用し、ポリマーの構造をイオンが動きやすい電子密度とした。

 金属リチウム電池では負極の保護膜として、リチウム空気電池では正極と負極の2液を分離するセパレータとしての需要を想定する。100回の充放電に耐えられる性能を確認しているという。電気自動車(EV)やアーバン・エア・モビリティ(UAM)向けの電池部材として量産を目指していく。