日本ガイシは7日、電動車のインバーターなどに用いられるパワー半導体モジュール向けの窒化ケイ素製絶縁放熱回路基板について、2026年度までに生産能力を今の約2・5倍に増やすと発表した。国内とマレーシアの製造設備に約50億円を投じ、月産能力を現在の約10万枚から約25万枚にする。欧州や日本のパワーモジュールメーカーなどに売り込み、30年度に200億円の売上高を目指す。将来的には欧州生産も検討する。岩崎良平副社長は「30年に3~4割のシェアを獲得し、約900万台に搭載したい」と語った。

 絶縁放熱回路基板は、セラミック基板を2枚の銅板で挟んで銅板に回路パターンを形成する構造で、パワー半導体素子の熱を逃がす役割を持つ。アルミナ系基板もあるが、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の増加に伴い、より強度がある窒化ケイ素系の採用が増えているという。同社の製品は19年から日欧のメーカー数社で採用されている。

 日本ガイシは、半導体製造装置用セラミックスなどで培った独自の接合技術により、セラミック基板と銅板間の接合層を他社製品の5分の1程度となる2㍃㍍(マイクロは100万分の1)以下にできる強みを持つ。極薄構造により異種材料間の膨張差も少なく、熱をすぐに冷却器に伝えられ、高い信頼性と放熱性を持つ。

 接合などの前工程を製造子会社、NGKセラミックデバイス(愛知県小牧市)で、エッチング・めっきなどの後工程を製造子会社NGKエレクトロデバイス山口工場(山口県美祢市)と同マレーシア(ペナン州)で行う。投資金額は前工程と後工程でそれぞれ同程度となる見通し。

 同社執行役員でNGKエレクトロデバイス社長の清水秀樹氏は「今後、SiC半導体の性能を最大限まで引き出す必要が出てくると、さらに当社製品が有効になる」と期待を示した。