スマホのアプリでドライバーに自転車の接近を警告する

 KDDIは20日、トヨタ自動車とともに、コネクテッドカーと通信技術を活用して交通事故を防ぐ技術の実用化を目指すと発表した。スマートフォン(スマホ)と車両データなどを使い、交通事故発生リスクの高い場所を「見える化」するサービスを、今春から販売する。車両と自転車の出合い頭の衝突事故を防止する技術の実用化も目指す。トヨタは、車両の安全性向上や車内体験を提供する新たなモビリティサービスとして展開することを視野に入れる。

 交通事故発生リスクが高いエリアを示す「危険地点スコアリング」は、KDDIのスマホユーザーの性別、年代などの属性や位置情報と、トヨタが保有するコネクテッドカーのプローブデータ、平均速度、急ブレーキなどのデータに、交通事故発生数、道路特性などのオープンデータを組み合わせて活用する。人工知能(AI)も用い、約10㍍四方単位で地図上に危険度合いを表示する。

 KDDIは、自治体や企業に危険地点スコアリングを販売する。危険なエリアは「高齢歩行者が多い」「平均速度が高い」など、理由も表示されるため、標識の設置や規制など、データに基づいた対策につながると見ている。

 危険な交差点に車両と自転車が同時に接近している場合、事前にスマホの通知音やバイブレーション、警告画面を通じてドライバーと自転車利用者の双方に警告して減速や一時停止を促す技術も開発中だ。車両側の探索範囲を絞り込んでデータ処理の負荷を軽くするとともに、衝突判断ロジックを高速化し、通信や警告の低遅延化を目指す。

 現在は双方ともスマホのアプリを利用するが、車両側はカーナビゲーションの活用も視野に入れる。

 また、コネクテッドカーのサイバーセキュリティ対策を強化するため、トヨタの車両とサーバーの情報、KDDIのモバイルネットワークを「つながる みまもりセンター」が監視し、通信パターンの変化などからサイバー攻撃を検知する技術も開発中だ。KDDIとトヨタのグローバル通信プラットフォームへの適用を検討する。

 トヨタは、無線通信でソフトウエアをアップデートできるOTA(オーバー・ジ・エアー)で車両に新しい機能を追加できるモビリティサービスを本格的に展開する方針。今回の通信技術を活用した新しいサービスのビジネスモデルは模索している段階だが、安全や安心につながるサービスを開発して実用化していく。