日産自動車は9日、2024年3月期の営業利益見通しを従来予想より700億円多い6200億円(前年比64.4%増)に上方修正したと発表した。販売台数の回復や上期の円安効果を踏まえ、通期の見通しを引き上げた。売上高は同4千億円多い13兆円(同22.7%増)、当期純利益は同500億円多い3900億円(同75.8%増)に修正した。

営業利益の修正要因で最も大きかったのは為替の効果で、通期の想定為替レートを従来から8円円安となる1ドル=140円に修正したことなどが400億円の増益要因となる。このほか、原材料市況の一服が200億円、販売の質的な改善が100億円の増益効果をもたらし、通期予想を700億円積み増した。販売台数の見通しは据え置いた。

一方、23年4~9月期決算は、売上高が前年同期比30.1%増の6兆633億円、営業利益が同2.2倍の3367億円、当期純利益が同4.6倍の2962億円となった。上期の新車販売は中国が同34.3%減の35万9千台と苦しんだが、中国以外の地域の合計は同23.4%増と半導体不足など生産制約の解消もあって増加した。

懸案の中国事業については、24年後半から26年までに自社ブランドの新エネルギー車(NEV)4車種を投入するとともに、年10万台規模の輸出を始める方針を示した。中国内の販売回復を図るとともに輸出の開始により、中国工場の稼働率を確保する。

一方、今秋にも発表するとしていた来年度からの次期中期経営計画は「市場の変化が激しい。具体的な計画を示したい」(内田誠社長)として発表を先送りする方針を示した。計画発表の時期について内田社長は「遅くとも年度内に示したい」と述べた。