三菱自動車は30日、2024年3月期の通期業績予想を上方修正し、営業利益の見通しを前回予想より300億円多い2千億円に引き上げると発表した。減益予想から一転し、過去最高の営業利益を見込む。東南アジア市場の回復遅れなどで販売台数は前回予想よりも弱含んでいるものの、商品ミックスの改善や米・豪ドルに対する円安の効果を増益要因として業績予想に織り込んだ。同じく円安の影響で売上高も700億円多い2兆8500億円に修正し、過去最高を更新する見通し。当期純利益は300億円多い1400億円に修正した。
通期の販売見通しは86万8千台へと4万9千台下方修正した。減少分のうち4万台は東南アジアの減少による。主力のタイやインドネシアの上期実績がローン審査の厳格化などで落ち込んだ影響を踏まえ修正した。営業利益見通しには台数減少の影響が前回予想比198億円の減益要因となる一方、円安の恩恵として同398億円の増益要因を見込む。通期のドル円の想定為替レートは前回の131円から139円に見直した。
23年4~9月期の実績も売上高、営業利益が過去最高を更新した。営業利益はミックス改善の効果が前年同期比462億円、為替の影響が同86億円の増益要因となった。加藤隆雄社長は「東南アジアの事業環境は厳しかったが、『手取り改善活動』の効果などで想定を上回る結果になった」と上期の実績を総括した。