日産自動車とルノーは7月26日、出資比率を対等にする交渉の最終契約を締結したと発表した。日産に対するルノーの出資比率を43%から15%に引き下げる。また、新たにルノーが設立する電気自動車(EV)やソフトウエアの新会社「アンペア」には日産が最大6億ユーロ(約935億円)を出資することも決めた。当初は3月末までの締結を予定していたが、正式な契約締結には時間がかかっていた。今回の契約締結を踏まえ、日産は今後、米国や中国といった主力市場での成長戦略を構築していく。

日産とルノーは2月、日産に対するルノーの出資比率を43%から15%に引き下げ、互いの出資比率を対等にする枠組みで合意し、協議を進めてきた。内田誠社長兼最高経営責任者は「本当の意味でルノーと対等な関係になる」とコメントした。最終契約の内容には、資本構成の見直しやアンペアへの出資に加えて、「リロード」と呼ぶインドや中南米での協業プロジェクトやガバナンスの強化も改めて盛り込んだ。

アンペアについては2月時点で日産が最大15%を出資する方針を示しており、今回、具体的な金額を決めた。欧州市場で電動化が進む中、日産はアンペアへの出資を通じてEVのコスト競争力やラインアップの拡大を図る。日産は出資するとともに取締役も派遣する。アンペアは2024年前半の上場を目指しており、ルノーが50%を出資し、日産のほかクアルコムも参画する。三菱自動車も「数カ月以内に結論を出す」(加藤隆雄社長)としており、出資の検討を進める。

アライアンスの方針が定まった中で、今後は日産がどのような成長戦略を描くのかが焦点となる。日産は今秋をめどに24年度から始まる次期中期経営計画を発表する予定で、パートナーとの提携を含めた成長戦略を示す考えだ。