三菱自動車が24日発表した2023年4~6月期決算は、売上高と全ての利益項目で4~6月期として過去最高を更新した。為替が前年同期を上回って円安方向に推移したほか、値上げや商品ミックスの改善による単価の上昇が業績を押し上げた。足元の為替の状況を踏まえ、通期の想定レートを円安方向に見直し、24年3月期の業績見通しを上方修正した。

 23年4~6月期の小売り台数は陸上輸送の輸送力不足などで前年同期比10%減の19万5千台だった。主力の東南アジアはインフレや金利上昇、モデル切り替えの端境期であることなどで同9%減の5万9千台と減少。陸上輸送の輸送力不足などの影響もあり、日本や北米を除いた地域で前年実績を下回った。中国の小売り台数は約7千台だった。

 営業利益は27億円の円安効果に加え、売上台数の増加と値上げや車種ミックスの改善効果が305億円の増益要因となり、14年以来9年ぶりに過去最高を更新した。売上高も07年以来の過去最高だった。経常利益と当期純利益は22年に続いて過去最高を更新した。

 円安を踏まえ、通期の想定為替レートは1ドル=129円から131円に見直した。期初は為替が506億円分の減益要因になると見込んでいたが、306億円に圧縮する見通し。売上高は円安効果で期初見通しより800億円多い2兆7800億円、営業利益と経常利益はそれぞれ200億円多い1700億円に上方修正した。

 小売り台数は「4~6月のマイナスは想定通り」(中村達夫副社長)としており、前年度比1割増の91万7台とする通期計画は据え置いた。7月以降に東南アジアに投入するピックアップトラックや小型SUVの新型車効果などによる下期の販売増を見込む。ただ、中国に関して加藤隆雄社長は「過剰な値引き合戦が広がっており、状況は厳しい。構造改革の方向性を合弁パートナーと明確にしていく」と認識を示した。

 また、ルノーが23年末にもIPO(株式新規公開)を予定している電気自動車(EV)の新会社「アンペア」については「日産自動車が決めた数カ月あとに答えを出したい」(加藤社長)とした。