決算会見で説明する加藤隆雄社長

三菱自動車の2023年3月期決算は、営業利益、経常利益、当期純利益が過去最高を更新した。為替が円安に推移したことが追い風になったほか、これまで取り組んできた固定費の圧縮や収益改善策が奏功した。24年3月期は半導体不足の緩和や新型車の投入効果などで売上高の増加を見込む一方、円安による増益効果の一服や、資材費および物流費のさらなる高騰、生産回復に伴う販売費用の増加などで利益項目はいずれも減益を見込む。

23年3月期の売上高は前年度比20.6%増の2兆4581億円、営業利益は同2.2倍の1904億円、経常利益は同80.3%増の18020億円、当期純利益は同2.3倍の1687億円だった。小売り台数は半導体不足や海上輸送の遅れで同11.0%減の83万4000台だった。生産再開のメドが立たないロシア事業で199億円、販売が低迷している中国事業で105億円の特別損失を計上した。

24年3月期は売上高が同9.8%増の2兆7000億円、営業利益が同21.3%減の1500億円、経常利益が同17.6%減の1500億円、当期純利益が同40.7%減の1000億円になる見通し。小売り台数の計画は同10.0%増の91万7000台。半導体不足や海上輸送の影響台数は5万台程度を見込んでおり、前年の約17万台から緩和する。加えて、東南アジアを中心とした新型車の積極投入などで販売拡大を図る。

販売低迷で生産を停止している中国について加藤隆雄社長は「6月に生産再開する予定だが、厳しい環境は続く。撤退すると決めてはないないものの、何らかの構造改革が必要なのは明確だ」と述べた。