三菱自動車が2日発表した2022年4~12月期決算は、営業利益と純利益が過去最高だった。資材費や物流費の高騰の影響はあったものの、円安や販売奨励金の減少、車種構成の改善といった販売の質の向上により大幅な増益となった。通期は販売台数見通しを引き下げたことにより売上高を500億円引き下げた。利益見通しは据え置いた。

 4~12月期は資材費や輸送費の高騰が545億円の減益要因となった一方、円安による為替差益が802億円の増益要因となった。売価や車種構成の改善効果もあり、営業利益は前年同期比2.7倍の1536億円と15年4~12月期を上回って過去最高だった。

 連結売上台数は74万5千台と前年同期比で2.5%増加した一方、販売台数は63万台と同8.3%減少した。東南アジア、日本、豪州では販売が増加したが、半導体不足や輸出用船舶の不足により、北米、欧州、中国などが減少した。

 通期の為替の前提は従来の1ドル=134円から135円に、1ユーロ=137円から140円に見直した。販売台数は半導体不足などの影響により、前回予想に比べ4万2千台少ない86万6千台に下方修正した。中南米、中東・アフリカを除く各地域で下方修正した。利益は営業利益、純利益とも過去最高となる見通し。これまでの最高は営業利益が16年3月期の1384億円、純利益が19年3月期の1329億円だった。

 池谷光司副社長は通期の見通しについて、「車両供給不足は回復の兆しが見えつつも、かじ取りが難しい状況に変化は見られない。見直した販売目標を達成すべく全力を尽くしていく」と話した。未定としている配当については、「安定的に(配当を)出すために、いろいろな検討を進めている」と述べた。