中計について語る加藤隆雄社長

 三菱自動車は10日、今後5年間で9車種の電動車を投入すると発表した。今後6年間で電動化向けを中心に研究開発費や設備投資の総額を過去6年と比べて3割増やすとともに、2030年までに車載電池の調達に2100億円を投じ、15ギガワット時分の電池も確保する。30年までに新車販売に占める電動車比率を50%に引き上げ、さらに35年に新車販売の全てを電動車にする現中期経営計画で収益改善に取り組んできた成果を生かし、電動化への投資拡大に打って出る。

 10日に発表した24年3月期からの新中期経営計画「チャレンジ2025」の中で中長期の電動化戦略を公表した。まず26年3月期には研究開発費を今期見通しと比べて5割多い1500億円、設備投資を4割多い1300億円に引き上げる。

 新中計では、電動化を推進するとともに、23年4月以降に主力市場である東南アジアへの新型車の投入を増やし、販売台数で110万台(今期見通しは86万6千台)、営業利益で2200億円、営業利益率7%を目指していく。加藤隆雄社長は「次の3年間が新しい時代に向かっていく大きな転換になる。したがって当社もこの3年間で大きく変わる必要がある」と語った。

 同社は21年4月期からの中期経営計画、「パジェロ製造」の閉鎖や人員削減、欧州向け新型車開発の凍結など、主に収益改善に取り組んだ。この結果、21年3月期は953億円の営業赤字だったが、今期は一転して1400億円と過去最高の営業利益を計上する見通し。