EV用「3in1」(左)とHV用「5in1」

 日産自動車は9日、従来と比べコストを3割減らす電動パワートレインの試作品「Xin1」を公開した。駆動モーターやインバーター、減速機を一体化した「eアクスル」を電気自動車(EV)とハイブリッド機構「eパワー」で共用するほか、モジュール(複合部品)化やレアアース(希土類)の使用量を抑えてコストを削減する。2025年から新型車に搭載し、翌年にはeパワーのコストをガソリン車と同等にする計画だ。EVも、Xin1と全固体電池の採用により、30年頃にはガソリン車と同等のコストを目指す。

 21年11月に公表した長期ビジョン「アンビション2030」で開発計画を示していた新型の電動パワートレインの試作品を公開した。eアクスル単体のEV用は「3in1」、eアクスルに発電機と増速機を組み合わせたeパワー用は「5in1」と呼ぶ。

 部品の共通化やモジュール化に加え、レアアースの使用率も引き下げる。磁石材料の改良に加え、磁気回路を最適化することで発熱自体を抑制し、重希土類の使用量を1%以下に抑える。

 モジュール化により、現行のeアクスルと比べて容積を10%小さくするとともに剛性も高め、音や振動の発生を抑制する。26年をめどにインバーターのパワー素子をIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)からSiC(炭化ケイ素)に置換し、出力密度も高めていく。

 日産は、30年度までに19車種のEVを含む27車種の電動車を新規投入する方針。基幹部品であるeアクスルも刷新し、電動車の競争力を一段と強化する。