交通事業部営業推進課の佐々木綾子主任
〝思いやりの心〟で対応するママサポートタクシー
提携会社を含め38都道府県で展開するお墓参りサポートタクシー
地域の交通機関として重要な乗り合いタクシー

 第一交通産業グループは、「地域での公共交通機関による社会貢献として、外出時の乗合タクシー・ママサポート・子どもサポート・お墓参りサポートなどの『おでかけサポート事業』の取り組み」で、第1回CSP大賞2021の特別賞を受賞した。社会構造の変化などを背景とした交通の不便地帯の増加やドライバー不足などの課題を解決し、地域社会を活性化し、率先して守る立場でありたいとの強い思いから1999年に取り組みをスタートさせた。

 過疎化する地方部の交通網維持、活性化などを目的にスタートした乗り合いタクシー事業だったが、「中心部でも交通不便地域があることが分かった」と交通事業統括本部資材課・ネットワーク推進課の古賀隆太次長は話す。そのため「協創の思いの下、柔軟な対応で、鉄道やバス、乗り合いタクシーなど、いろいろなパターンで地域を守る意識が欠かせない」(同)と強調する。同時に、地域の移動を守るためには「自治体との連携など、まちづくりとセットで考えることが重要」と指摘する。

 また、妊娠中や3歳までの子どもを育てる女性が利用できるママサポートタクシーは、年に5万人ずつ登録者が増加。累計登録者数は現在47万人まで増えた。同サービスの利用者が、その後ドライバーとして勤務することを希望したという思わぬ副次的効果もあった。同社では、女性ドライバーだけで毎月10人ずつ増加。ドライバーの女性比率は業界全体が4%に対して、同社は11%にのぼる。女性ドライバー比率が高まる中で取り組んだのが更衣室や化粧室などハード面の整備と固定給制度や柔軟な勤務体系の採用などのソフト面の対応だ。「女性ドライバーや求職者、利用者などの声を聞き、女性が働きやすい環境づくりにこだわり、事例を横展開している」と交通事業部営業推進課の佐々木綾子主任は述べる。

 コロナ禍にスタートしたお墓参りサポートタクシーは、リピート率約50%を誇るサービスの一つ。佐々木主任は「高齢者などを中心に非常に感謝していただけるサービス」ととらえ、顧客ニーズに合わせた展開も模索する。

 CSP大賞特別賞を受賞後、約1万人のドライバーにも配布する情報冊子や告知CMなどで受賞をアピールした。「ドライバーから『自分たちが取り組んできたことが評価され、表彰されるということがモチベーションにつながった』という意見や『仕事に誇りを持てる』という声があがった」(佐々木主任)という。佐々木主任は「タクシーの付加価値として取り組んできたことが評価され、乗務員のサービス品質の底上げ、自信、自覚にもつながった」と話し、「大切なサービスとしてしっかりと、丁寧に浸透させていきたい」と考えている。