ソフトバンクとJR西日本は、自動運転バスの隊列走行実証を広島県で11月から実施すると発表した。2020年代半ばには自動運転「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)の認可を得て、商業運行を目指す。両社によると、自動運転バスの公道での隊列走行実証は日本で初めて。運転手不足を緩和したり、乗客数に応じて輸送力を機動的に変えられる新たな公共交通として実用化を急ぐ。
両社は、自動運転バスの隊列走行実験に21年10月から取り組んできた。テストコースでの技術検証を今年7月に終え、公道実証に入ることを機に15日に会見し、概要を説明した。
これまでの実証では大小3台のバスを使い、JR西日本の敷地内を累計で約1万4千キロメートル走行した。隊列走行のほか、踏切や信号での制御、遠隔による車内外の監視、異常時対応など、複数の技術やシステムを検証した。
車両とシステム間は第5世代移動通信システム(5G)で、車両同士は5Gとミリ波、光無線通信でつないでおり、これに衛星測位システム(GNSS)を組み合わせ、車両の位置を数㌢㍍単位で把握する。電波干渉などはソフトバンクの技術で防ぎ、完成度を高めた。
東広島市のJR西条駅と広島大学「東広島キャンパス」の間、約5キロメートルの県道と市道で実証する。走行環境を確認した後、12月からバス2台での隊列走行を始める。24年1月以降には市民への試乗会も開き、要望を採り入れたり、社会的受容性を高めたりしながら商業運行を目指す。20年代半ばにもレベル4での公道走行の認可を得たい考えだ。すでに複数の自治体から引き合いがあると言う。
ソフトバンクの宮川潤一社長CEO(最高経営責任者)は、「今回のバス高速輸送システム(BRT)の仕組みが日本の新しい交通インフラを築くと信じている。JR西日本としっかり、確実なものに仕上げていきたい」と語った。