EVシフトを加速させる(ソルテラ)
大崎篤社長

 スバルは2日、2030年までに電動車の生産や開発に1兆5千億円を投資すると発表した。また、ハイブリッド車(HV)と合わせて40%としていた電動車比率目標を「電気自動車(EV)だけで50%」に更新した。30年の新車販売台数の前提は「120万台+α」とし、このうち60万台をEVにする。検討を進めていた米国でのEV生産にも乗り出す方針も決め、米国では28年に新車販売の半分以上をEVとする。主力市場の米国で急速に進むEVシフトに対応する。

 大崎篤社長は、EVの普及ペースは不透明として「柔軟性と拡張性」を重視する考えを改めて示した一方、「モノづくりや価値づくりの革新に向けた資源をEVに集中させる」と語った。

 経営資源を重点配分するのは主力の米国市場だ。スバルは昨年5月、「国内で2500億円を投じてEVの生産体制を整備する」と発表。当初は国内でノウハウを蓄積し、その後、米国での工場設置を進める方針だったが「米国のEV進展の速度を勘案し、生産投資を決めた」(大崎社長)。現地での生産開始は27~28年ごろを想定し、既存工場だけではなく、新工場の建設も視野に具体的な計画を詰める。

 商品面では、今年5月に発表したSUVのEV4車種を26年末までに発売するのに加え、28年末までに新たに4車種を世界市場で発売する。28年には米国の年間EV販売台数を40万台に増やす。

 一方、HV市場の拡大も見据え、トヨタ自動車のハイブリッドシステムを活用した「次世代eボクサー」を日本に加え、米国でも26年ごろに現地生産する方針だ。

 電動化投資を増やすなかで収益力を維持するため、事業効率も高める。これまで分業化していた生産、設計、商品企画のプロセスを全面的に見直し「開発手番」や「部品点数」「生産工程」を半減するとした。