損保ジャパンは取引継続がリスクになると判断した模様

 ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)の自動車保険金の不正請求問題で、損害保険ジャパンは28日、ビッグモーターとの保険代理店委託契約を終了する準備に着手したと発表した。同社にとって、経営上大きな打撃になる。また、損保ジャパンはビッグモーターに対し、民事上の損害賠償請求の訴えを起こすことも明らかにした。他の損害保険各社も、同様の対応に出る可能性が高い。

 同社と損保各社との取引は250億円あり、大半が損保ジャパンとみられている。自動車保険を販売してもらっている損保ジャパンにとっても大きなマイナスになるが、社会的問題となっているビッグモーターとこれ以上取引を続けることは、リスクが大きいと判断したとみられる。不正を見逃してきたのではないかとも指摘されており、損保ジャパン自体も追い込まれていた。

 関係者の間では、損保ジャパンがビッグモーターとの代理店契約を続けるかどうかが大きな焦点となっていた。継続となると、ビッグモーターにとっては改革が進まない可能性があった。

 同社に対し、損保大手は現在、事故車の紹介を止めている。それまでは年間3万~4万台の紹介があり「事故車1台につき、見返りに自賠責保険5台分が割り振られる」(関係者)仕組みで、お互いの大きな収益源になっていた。問題が沈静化したころ、この紹介が再開すれば、ビッグモーターも少しずつ再生できるとみる向きもあった。

 ただ、最も関係の深い損保ジャパンが関係を断つことになれば、他の損保各社も同様の対応を取らざるを得ない。「代理店契約を続けると社会から厳しい目で見られる」(大手損保幹部)ことから、他の損保大手も、同社の動きをみながら、代理店契約の終了を検討していた。ビッグモーターと代理店契約を結んでいる損保は、損保ジャパンを含めて7社あるが、今後は雪崩のように一気に契約終了を表明する社が相次ぐ可能性がある。自動車保険の取引なしに中古車販売業の経営は難しく、ビッグモーターは厳しい局面に立たされることになる。