ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)の自動車保険金の不正請求問題で、同社に多くの出向者を出していた損害保険ジャパンは26日、社外調査委員会(委員長=山口幹生弁護士)を同日設置したと発表した。損保ジャパンがビッグモーターの不正を事前に把握していたかどうかに加え、出向者や社員に不適切な行為があったかどうかなどについて調べる。調査期間は未定だが、調査結果は公表するとしている。

 調査委のメンバーは社外弁護士のみ。「客観性」「透明性」を保ちながら真相を探るためという。

 ビッグモーターの不正は2021年秋に、日本損害保険協会(新納啓介会長)への情報提供があり発覚した。22年4月に損保ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の大手3社がサンプリング調査をした結果、一定割合で疑義がある案件が確認された。3社は同年6月、ビッグモーターに自主調査を申し入れると同時に、事故車の修理の紹介も停止した。

 ビッグモーターは同月中に自主調査の結果を損保側に報告。「工場と見積もり作成部署との連携不足等のミスが原因で再発防止策を講じる」とした。そのため損保ジャパンは同年7月に事故車の紹介を再開した。同月中には、ビッグモーターの兼重宏行社長(当時)も損保ジャパンの本社を訪問している。ただ、東京海上日動と三井住友海上の2社は、ビッグモーターの調査は不十分として、さらなる調査を要請し事故車の紹介停止の措置は変えなかった。

 ビッグモーターは同年9月、工場長の指示に基づく新たな組織的関与の疑義が判明したと損保側に報告し、損保ジャパンは同月から再び事故車の紹介を停止した。

 損保ジャパンは事故車の再開をした時点で、ビッグモーターの不正は工場長の指示による可能性があることを出向者から聞いていたことを26日に認めた。それなのに事故車の紹介を再開したことについて損保ジャパンは「当社としての調査が不十分で、当時の判断が誤っていた点については、真摯(しんし)に受け止め反省している」とした。また、「ビッグモーターの調査報告書で明らかになった器物損壊罪に当たる損傷の作出など悪質な行為が行われていた事実までは把握できていなかった」としており、このあたりの経緯も社外調査委で詳しく調べるという。