ビッグモーター(東京都港区)は7月25日に都内で会見し、辞任を表明した兼重宏行社長は不正について「全く知らなかった」「組織的関与はない」と述べた。一連の報道内容とは異なる見解で、経営トップの辞任だけで事態が収束するかは不透明な情勢だ。

会見の冒頭、兼重社長は「関係者のみなさまに多大なるご迷惑をおかけした」と陳謝した。

自動車保険の不正請求について兼重社長は「調査報告書を6月26日に受け取るまで全く知らなかった。本当に驚いた」と述べた。さらに「そのようなことをやった社員については、調査して刑事告訴したい」とも語る場面があったが、会見後に社員の刑事告訴については撤回した。

兼重社長と長男の宏一副社長は、7月26日付で退任し、後任として専務取締役の和泉伸二氏が社長に昇格する。兼重社長は「経営から完全に退く」と語った。ただ、ビッグモーターは、兼重親子が株主の資産管理会社「ビッグアセット」の100%子会社であり、社長を退任しても株式は持ち続けるという。

不正請求が発覚後の事業への影響については、和泉伸二専務が「不正について報道されるようになってから、中古車販売、買い取りなどは通常の半分になっている」と説明した。