ビッグモーターの一部店舗は不正車検などで国交省から行政処分も受けている

 自動車修理で損害保険会社への保険金不正請求などが発覚したビッグモーターに対し、国土交通省は可能な限り早々にも同社から任意で事情を聴取する。道路運送車両法に違反する可能性が高まった場合には、同法に基づく立入検査や行政処分を行う方針だ。同社の不正は保険業法など他の法令にも抵触する可能性があり、金融庁や消費者庁などの対応しだいではさらなる行政処分も予想される。

 国交省関係者によると、ビッグモーターには事情聴取の要請を今月6日に伝えた。19日時点では同社から回答はないが、聴取に応じる意向を示しているという。

 国交省にとって自動車保険の不正請求は所管外だが、不正車検で一部の工場を行政処分していることもあり、事態の推移を注視していた。事情聴取は、同社から提出された調査報告書の内容を精査する形で行うが、聴取の過程で道路運送車両法に抵触する不適切な行為が見つかる可能性もある。その場合は任意聴取から立入検査に切り替え、全容解明に乗り出す考えだ。斉藤鉄夫国交相は、18日の閣議後会見で不正請求問題に対して沈黙を続ける同社の企業姿勢も厳しく批判した。

 同社が特別調査委員会から報告書を受領したことは5日にホームページ上で公表したのみ。報告書の詳しい内容は明らかにしておらず、斉藤国交相は「われわれも知らされていない」と語った。入庫車両を傷つけたりして不要な板金・塗装作業や部品交換を行うなどで不適切な保険金や工賃を請求していた疑いがあることについて「そういうことがあったとしたら言語道断の話だ」と同社を強く批判した。