新技術による成形品(左)と従来工法の成形品

 東海理化と精工技研は、金型内で樹脂の成形・塗装・乾燥工程を一貫して行える日本初の小型部品向けの「型内塗装技術」を共同開発した。3工程を1台の射出成型機で完結させ、二酸化炭素(CO2)排出量を約6割減らせるほか、設備スペースも従来の2割ほどで済む。2025年をめどにステアリングスイッチなどの量産を目指す。

 東海理化の成形・塗装技術と精工技研の精密金型技術などを持ち寄り、昨年4月から開発に取り組んできた。従来の工法では、射出成形後に成形品を取り出して塗装ブースに移動させ、塗料を噴霧して高温で乾燥させる。新技術では、既存の射出成形機に「塗料注入ユニット」を設け、金型の上型から塗料を流し込み、金型内の熱で固める。乾燥工程の消費電力を削減できるうえ、生産効率も高まる。

 一般的に型内の塗装技術は外観の均一性を保つのが難しいが、今回は、塗料の流れの影響が出にくい小型部品に特化することで従来品と変わらない外観品質を実現した。

 東海理化の今枝勝行執行役員は「今後は黒以外の塗装にも対応し、スイッチやアウターミラーなど幅広い製品に展開していきたい」と語った。