東海理化は、2030年度の売上高を22年度の見通しと比べて15%増となる6千億円に引き上げるなどを目標とする中期経営計画を発表した。主力製品であるメカ式スイッチの市場縮小や価格競争の激化を想定、30年度までに既存商品の売上高が800億円減ると試算する。こうした中、25年度までにDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などによる開発・生産の効率化で経営基盤の強化を図るとともに、電気信号でシフト操作する「シフトバイワイヤ」の販路拡大、スマートフォンで自動車のドアを開錠・施錠する「デジタルキー」など、新規事業を開拓して売り上げを伸ばす。

 同社は今期(2023年3月期)の売上高が過去最高の5200億円と予想している。新しい中期経営計画では25年度まで売上水準を維持しながら、営業利益は今期計画比2・5倍となる250億円に引き上げる方針。

 経営基盤を強化するため、デジタル技術を活用して部品の設計から生産準備までのリードタイムを半分に短縮するほか、生産体制の再編を進める。

 今回の中期経営計画は「30年度の飛躍に向けた土壌づくり」(二之夕裕美社長)と位置付ける。30年度の売上高6千億円達成に向けてはシフトバイワイヤやデジタルキーなどを重点領域に据える。成長を見込むシフトバイワイヤは、トヨタ自動車以外の自動車メーカーへの拡販にも注力、売り上げを現状の約180億円から25年度までに300億円に増やす。

 また、デジタルキーの技術を活用した宅配ボックスの開発、マグネシウム鋳造など既存技術を応用したコンシューマー向け商品の投入などで新規事業の売り上げを30年度までに150億円の達成を目指す。