開発した新素材(左)と試作したECUケース

 トヨタ自動車系の東海理化は21日、竹を用いた新材料「Bamboo+(バンブープラス)」を開発したと発表した。竹と熱可塑性プラスチックを半分ずつ混ぜることで、従来のABS樹脂と比べて二酸化炭素(CO2)排出量を半減できるほか、森林環境の保全にも役立つ。こうした植物由来の素材は、納入先からのCO2削減要請に応えられるため、サプライヤー各社が改めて開発に乗り出している。東海理化は、主力のECU(電子制御ユニット)ケースなど自動車部品向けとして新材料を売り込み、2024~25年の量産を目指す。

 トヨタ自動車「レクサス」向けに竹ステアリングホイールを手がける関連会社、ミロクテクノウッド(片山弘紀社長、高知県南国市)および高知県と共同で開発した。木材繊維とプラスチックを融合した「ウッドプラスチック」の中でも、竹を用いたものは珍しい。ガラス繊維強化ポリプロピレン(PP)では、製造工程でソリや歪みが出るなどの品質問題があるが、バンブープラスでは高い強度を保ったまま正確に成形することが可能だという。

 また、竹を熱することで発生する特有の臭気も、独自の工法により低減した。今枝勝行執行役員は「従来の素材から積極的に置き換えを提案していきたい」と語った。

 植物由来の素材は以前からあるが、これまでは主に環境への取り組みを企業としてPRする意味合いで用いられてきた。しかし、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)への気運が高まる中、自動車メーカーはCO2排出の少ない部品や事業活動を取引先に求め始めている。

 東海理化としては、今後も塩ビに混ぜて光沢やベタつきを抑えたシフトレバーノブや、竹を使ったフェイクレザーなど、さまざまな製品の提案を進めていく考えだ。