2021年末に国内生産を終了した「オデッセイ」
アジアクロスカントリーラリー2022で優勝した「トライトン」

日本の自動車メーカーが海外生産車を国内に導入する動きが広がっている。三菱自動車は東南アジアで生産するピックアップトラックを、ホンダは中国で生産するミニバンを日本に導入する方針だ。収益改善のために国内工場や販売車種を整理してきた両社だが、商品を売れ筋のSUVや軽自動車だけに絞り込むと、ブランドの魅力が低下する懸念もある。グローバルの生産拠点をフル活用し、国内向け商品のバリエーションを広げる。

三菱自は2023年度にも「トライトン」を日本に導入する。トライトンは日本での販売を11年に終了したピックアップトラックで、約12年ぶりに復活することになる。パジェロ製造(岐阜県坂祝町)の閉鎖で「パジェロ」を販売終了した後、ブランドイメージの再構築が課題となっていたが、トライトンの再導入で「4WDの三菱」などのブランドイメージを明確にしたい考えだ。

一方、ホンダは23年度後半に「オデッセイ」を中国から輸入する。中国で販売する現行車を右ハンドル仕様に変更するとともに、フロントグリルに意匠変更などを施して販売する。パワートレーンはハイブリッド車(HV)のみの設定になる見通しだ。

ホンダは21年末の狭山工場(埼玉県狭山市)の閉鎖に伴ってオデッセイのほか、「レジェンド」などの上級車種の生産を終了。小型車や軽がラインアップの中心になる中、販売店からはオデッセイの復活を求める声が少なくなかった。

国内市場の縮小を背景に、国内生産で採算を確保できる車種は減りつつある。さらなる市場縮小が見込まれる中、海外生産車でラインアップの維持や拡充を図るケースは今後もさらに増えていきそうだ。