欧州連合(EU)理事会と欧州議会は、内燃機関を搭載する乗用車と小型商用車の欧州域内での新車販売を2035年から禁止することで基本合意したと発表した。昨年7月に欧州委員会から法案を受けた後、EU理事会、欧州議会はそれぞれ法案を支持する意向を示していた。今回の合意により内燃機関の廃止に向けた動きが具体化することになる。

 35年までに乗用車と小型商用車から排出する二酸化炭素(CO2)の排出量をゼロにする法案に合意した。26年にはプラグインハイブリッド車(PHV)や合成燃料の開発状況を踏まえて基準を再度検証する機会を設ける方針だが、現在の方針が踏襲されれば、35年以降は電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)のゼロエミッション車しか販売できなくなる。

 合意を踏まえ、EU議長国であるチェコのヨゼフ・スィーケラ産業貿易大臣は「EUにおける近代的で競争力のある自動車産業への道を開くもの」とコメントした。一方、欧州自動車工業会のオリバー・ツィプセ会長は「再生可能エネルギーや充電インフラ、原材料の確保といった目標達成のために不可欠な要件を政策に反映してもらいたい」と述べた。

 日本の自動車メーカーの21年の欧州新車販売台数(乗用車)は101万台。トヨタ自動車、日産自動車など主要メーカーはEVシフトを欧州でも進めているものの、ハイブリッド車(HV)を安定的に販売しているだけにビジネスモデルの大幅な転換が求められる。