帝国データバンクは、運輸・倉庫をはじめとした1763企業を対象に実施した円安のマイナス影響とその理由についての調査結果を発表した。それによると、円安傾向によって「コストの増加」の影響を受けた企業は全体の約8割に上った。仕入れ先の値上げの影響を大きく受ける「卸売」や燃料費高騰が響く「運輸・倉庫」で特に悪い影響が生じた。

 まず7月にさまざまな分野の企業のアンケート調査を行い、事業における円安のマイナス影響を調べた。その中で「原材料価格の上昇でコスト負担が増えた」「燃料・エネルギー価格の上昇でコスト負担が増えた」と回答した企業がそれぞれ全体の7~8割に達した。この結果を受け8月上旬、円安影響が大きい業界を中心に緊急企業アンケートを実施し、各地の経営者らの声を集めた。

 そこでは円安影響について、77.7%の企業が「コストの増加」を挙げた。業界別の回答率は「卸売」が85.1%と最も高く、次いで「製造」が83.7%、「運輸・倉庫」が83.2%、「小売」が81.2%でそれぞれ8割を超えた。

 企業からは「物流関係は受け身の対応となるため大変なことになっている。これだけ物価が上昇して経営困難になる中、大手ほど非常識な値下げを言ってきている」(一般貨物自動車運送)、「仕入価格の上昇分を価格転嫁したいが、既存取引先の状況を考えると100%の転嫁は難しく、その分、粗利益が圧迫されている」(自動車部品附属品卸売)といった声が挙がった。

 さらに12%の企業が消費者による「国内における買い控え」が響いているとした。「円安により、今後国内での販売量が大幅に減少することから、今秋をもって会社を解散する」(建築材料卸)という声をはじめ、0.6%から「事業の整理、撤退」との回答があった。