氏家俊明社長

 タダノの氏家俊明社長は13日都内で会見し、2023年をめどに世界初の電動ラフテレーンクレーンを発売すると発表した。電動油圧ポンプでクレーンの作動力を確保し、環境対応と作業性を両立する。電動クレーンを通じて、同社グループが2050年に目指すカーボンニュートラルで技術の方向性を打ち出し、持続的な成長につなげていく。

 開発中のラフテレーンクレーンは、走行、クレーンの稼働ともにバッテリーからの電力で賄う。クレーンには、電力で油圧ポンプを駆動するシステムを採用する。クレーンに必要な吊り上げ力を電力のみで確保すると、モーターの大型化や消費電力の増大が避けられない。既存ユニットで培った油圧技術を生かせる電動ポンプを利用して、商品力を高める。

 電動化にともない従来クレーンとの操作性の変化が予想されるため、人工知能(AI)によるオペレーターの操作支援機能を搭載。電動化で作業時の騒音低減を見込むなど、地域に優しいクレーンの開発を目指す。

 氏家社長は「今まで取引のなかった企業からも意見を集める」と話し、電動化を梃に新規ニーズの吸収に取り組む姿勢を示した。

 ディーゼルエンジンを搭載するラフテレーンクレーンは稼働、走行の段階で多くの二酸化炭素(CO2)を発生している。同社製品が排出するCO2の合計は同社グループの工場など事業活動で排出するCO2を大きく上回ると試算しており、その改善に向けて電動化に着手する。