矢野経済研究所は、セルロースナノファイバー(CNF)についての世界市場調査で2021年の世界生産量が57~60トン程度になるとの予測を発表した。出荷金額は53億7500万円となる見込み。20年はサンプル出荷も含め、世界生産量は57トンにとどまった。CNFを採用する製品が少量であることや、高コストが原因で採用が広がっていないとみている。
CNFは機能性添加剤や樹脂強化材などの用途が中心で、最終製品における使用量自体が少ない。また、生産量の多い製品への採用がなく、CNF採用製品の販売量が限られているため、21年も生産量は横ばいになると想定する。
一方、植物由来パルプの多用による二酸化炭素(CO2)削減効果や、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)では難しい水平リサイクルが可能であることに加え、単体の樹脂に比べて引張強度や曲げ強度、荷重たわみ温度などの性能は高い。このため同社では、樹脂強化のための用途としての展開は見込めるとしている。