JFEホールディングスは7日、2024年度を最終年度とする第7次中期経営計画を発表した。50年のカーボンニュートラル実現に向けた、気候変動への取り組みを最重要課題と位置付け、鉄鋼事業における二酸化炭素(CO2)排出量の削減や洋上風力発電事業などに注力する。国内鉄鋼事業については鋼材1トン当たりの利益を追求し量から質への転換を図る。財務目標は連結事業利益3200億円、当期利益2200億円を掲げた。

 新中計では24年度末のCO2排出量を13年度比で18%削減する目標を掲げた。カーボンニュートラルに向けた取り組みとしては、高炉で発生するCO2を再利用するカーボンリサイクル高炉とCCU(CO2回収・利用)を組み合わせた手法や水素製鉄の技術開発を鉄鋼事業で進める。また、グループを挙げて洋上風力発電事業を推進する中で、着床式基礎構造物製造事業への参入などを検討する。

 国内鉄鋼事業は量から質への転換を図る。量の拡大を収益の源泉とするのではなく質を追求し、トン当たり利益目標は1万円に設定した。事業会社のJFEスチールでは重点分への選択と集中を柱に構造改革を実行し製品ミックスを高度化するほか、製品価値に見合った価格体系の再構築を進める。

 また高付加価値製品の比率を50%に引き上げ収益改善を図る。

 コスト、品質競争力を高めるため1200億円に上るコスト削減にも取り組む。固定費の大幅削減と損益分岐点の引き下げを図るほか、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた新技術の導入により生産効率や労働生産性の向上を図る。

 鉄鋼事業で成長市場と位置付けるインドではさらなる成長戦略を進める。旺盛な電磁鋼板需要の取り込みを図るべく、インド・JSW社と方向性電磁鋼板製造販売会社の共同設立を検討する。

 新中計では、効果的な投資と財務健全性の両立にも取り組む。グループの総投資額は約1兆4500億円(事業投融資2500億円含む)を予定しており、このうち1兆800億円を鉄鋼事業に充てる。

 一方、収益貢献度の低い資産や事業については見直しを進め、2千億円程度の資産圧縮を図る。

 同日、記者会見した柿木厚司社長は「カーボンニュートラルへの取り組みを事業機会と捉えて企業価値の向上を図る」と述べた。