レブル250
セロー

全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した二輪車(原動機付き自転車を除く126cc以上)の2020年度新車販売台数は前年度比14.9%増の14万4931台となった。14万台を超えたのは12年ぶりとなる。新型車効果に加え、「3密」を避けて移動できる二輪車の役割が見直されたことで市場が拡大したとみられる。

126~250ccの軽二輪車と251cc以上の小型二輪車の市場は、08年度に20年度同等の14万5000台規模だったが、リーマンショックや東日本大震災の影響によって09~12年度は9~11万台程度で推移。需要喚起を図ろうと二輪車メーカー各社は、新規客やリターンライダーを取り込むために価格を抑えた海外生産モデルの拡充や、新しいコンセプトの商品を増やしてきた。17年度あたりから市場は活性化し、12万ラインを超えると、20年度にさらにコロナ禍などで一気に需要が急拡大した。

特に好調だったのは軽二輪(126cc~250cc)で同26.5%増の7万5874台と大幅に増加した。5月はコロナによる工場の稼働停滞の影響でマイナスとなったものの、6月以降は9カ月連続でプラスを維持。小型二輪(251cc以上)も好調だったが、その小型二輪の台数を07年度以来13年ぶりに上回るなど、軽二輪市場の活況ぶりが伺える結果となった。

軽二輪市場をけん引したのはホンダの「レブル250」だ。レブル250は、クルーザータイプでありながら軽量で取り回しの良い車体や扱いやすい出力特性のエンジンが特徴のモデル。17年に発売した後、20年1月にマイナーチェンジを実施し、販売台数を伸ばした。車両コンセプトが女性や若者にも支持され、新規客の獲得に貢献した。

名車の生産終了による特需もあった。ヤマハ発動機は1月、生産終了前の最後のモデル「セロー」のファイナルエディションを投入。終了前の駆け込み需要もあって販売を伸ばした。小型二輪でも、ヤマハ発が今年1月に「SR400」の生産終了を発表しており、受注を大きく伸ばしている。

新車だけではなく、「ガレージで眠らせていたバイクにもう一度乗ろうとする人が増えた」(ホンダ)という動きもある。宅配サービス「ウーバーイーツ」などの普及でデリバリー向け二輪車用の需要が増えたほか、古いモデル向けの部品や用品の需要も伸びた。

一方で、ライダー人口の増加が要因とみられる、二輪車が関連する交通事故も増加した。20年暦年の乗車中死者数は526人で4年ぶりに増加に転じた。10年前と比べると大幅に減少しているものの、新規ライダーの流入期でもあるため、事故低減に向けた啓発活動や安全装置の普及も一段と求められそうだ。