SR400ファイナルエディションリミテッド

 ヤマハ発動機は「SR400」の生産を終了すると発表した。3月15日に発売する「SR400ファイナルエディション」を最後に、43年の歴史に幕を下ろすことになる。1978年の発売当時と変わらないスタイルを守ってきた同モデルだが、排ガスなどの今後の規制強化を踏まえ、生産を終えることを決めた。国内向けの生産は終了するが、タイ向けの生産は継続する。

 同車は空冷SOHC2バルブ単気筒エンジンを搭載し、キックスターター方式で、クラシカルなデザインが特徴。ヤマハ発は、今では唯一無二の特徴となったSRの個性を“執念”で守ってきた。

 例えば、2006年の排ガス規制ではSRを含む多くのバイクが生産終了を迫られたが、SRは09年にフューエルインジェクションを搭載して復活。16年の基準も厳しかったが、蒸発ガス浄化装置を採用し、モデルを存続させた。蒸発ガス浄化装置などの新しいデバイスを追加しても、レイアウトを工夫し、初代発売当時のデザインを踏襲してきた。

 キックスターターも同様で、ライバル車のホンダ「CB400SS」が03年に追加したセルを搭載することもしなかった。キックのみの始動は不便ながらも、それが様式美として確立され、長年にわたって多くのライダーに愛されてきた。

 最新の技術が搭載されたモデルにはないバイクの乗り味や風格は、ベテランライダーだけではなく、若年層にも支持される。20代の構成比は29.6%(20年実績)とクラス平均の約3倍を占める。シンプルなデザインのため、セパレートハンドルを装着したカフェレーサー仕様などカスタマイズベースとしても人気が高かった。

 ファイナルエディションは、歴代モデルのコンセプトを反映したグラフィックパターンを採用。1000台限定で、サンバースト塗装を施したフューエルタンクシリアルナンバー入り電鋳エンブレムなどを採用した「SR400ファイナルエディションリミテッド」も発売する。価格はファイナルエディションが60万5000円、リミテッドが74万8000円(いずれも消費税込み)。