トヨタ自動車は10日、2021年3月期連結業績見通しを上方修正した。連結販売台数の見通しを昨年11月の公表時から10万台上乗せして760万台とし、売上高に相当する営業収益は5000億円増の26兆5000億円とした。営業利益も7000億円積み増し、2兆円を確保する。新型車効果で新型コロナによる販売影響を最小限に抑え込んだうえ、生産の減少時に取り組んだ原価改善が増産局面で効く。10~12月期は営業利益額、売上高比率とも過去最高だ。近健太執行役員は「ステークホルダーの皆さんと一生懸命に頑張った成果だ。輸送や燃料など自動車産業に関わる550万人の皆さまに感謝を申し上げたい」と語った。

 連結販売台数は前回予想と比べ、日本で6万台、欧州で4万台、日本を除くアジアで5万台積み増す一方、北米は3万台引き下げた。ただ、全地域で新型車効果や車種構成の改善などが進んでいる。グループ総販売台数は前回と比べ31万台増の973万台。トヨタ・レクサス車販売は同30万台増の890万台とした。

 連結販売見通しは、期初に掲げた700万台を60万台上回る。「コロナで非稼働となった時に集中的に原価改善のネタ探しをやったり、マスクを作ったりしながら、後半に稼働が戻った時に固定費がリーンな状態で高稼働につなげることができた」と近執行役員は業績改善の理由を説明した。

 また、世界的な半導体不足によるリスクについて、近執行役員は「仕入れ先と日次、週次、月次でコミュニケーションしているし、これまでも確度が高い生産計画を示していることが仕入れ先との関係のベースになっている」と影響を最小限にとどめている理由を説明した。今後については「夏ぐらいまで続くのではないかという声も聞くが、当社の調達担当に聞くとそこまでではないと感じている」と述べた。

 20年4~12月期の世界販売は前年同期比20.7%減の543万8000台となり、営業収益は同15.0%減だったが、営業利益は同26.1%減にとどめた。10~12月の3カ月では販売回復がさらに鮮明となっており、日本、北米、欧州、アジアと所在地別でも軒並み増益を果たした。