計画を発表するデメオCEO

 ルノーは14日、拡大路線から収益重視へと転換を図る2025年までの新中期経営計画「ルノーリューション」を発表した。同年までに生産能力を19年比で23%減の310万台に引き下げるほか、アライアンス共通のプラットフォーム適用率を80%にまで高め、開発・生産効率をさらに追求する。固定費削減目標を従来計画から5億ユーロ上積みし、23年までに25億ユーロ(約3150億円)に設定した。

 同計画は、ルノーグループの競争力強化と収益性の向上に重点を置く。ルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は14日の会見で「われわれは地理的にも大きくなり、ボリュームを追求してきたが、収益面を見ていなかった」と、戦略見直しの背景を語った。

 20年5月に策定した3カ年計画の固定費削減目標からもう一歩踏み込む。23年までに売上高営業利益率を3%以上に、25年までには5%へと引き上げる。売上高に占める研究開発費の比率は8%へと下げる。

 具体的な施策として生産能力を適正化し、19年の400万台から25年までに310万台へと縮小。従来計画で示していた24年までに330万台からさらに進んだ目標を定めた。一方、高い収益性が見込める「Cセグメント」を欧州を中心に積極投入する。

 日産自動車、三菱自動車との3社連合の枠組みも有効活用する。プラットフォームを現状の6つから3つに合理化するとともに、アライアンス共有プラットフォーム「CMF」のルノーグループでの適用モデルを拡大。23年までに1台当たりのコストを600ユーロ改善する。同時に、車両開発期間を3年未満に短縮する。

 また、パワートレインの種類を8つから4つに集約する。電動化を加速し、25年までに少なくとも10の電気自動車(EV)を投入。14日には新型EV「ルノー5」のプロトタイプを公開した。

 日産の内田誠社長は、「ルノーリューションがグループにとって新しいページになると信じて疑わない。日産のアプローチと補完的なものになり、それぞれの資産をしっかり合わせてアライアンスの力としていきたい」とコメントを寄せた。