ミシュランは6日、今後3年間、フランス国内で最大2300人の人員を削減すると発表した。アジアを中心とする低価格タイヤメーカーの攻勢を受けて収益力が低下していることから人員削減による固定費を圧縮するとともに、経営効率を高めて上級タイヤや新サービスに資金を投じる。タイヤメーカーではブリヂストンが生産拠点の閉鎖を相次いで決定しており、リストラが加速している。

 2300人はミシュランのフランス国内の従業員の約1割に当たる。内訳は間接部門が1100人、製造部門が1200人となる見通し。工場は閉鎖せずに、自主退職と早期希望退職で削減する。人員削減による固定費削減で、競争力が最大で年5%向上するとしている。今後、労働組合側と交渉に入る。

 タイヤ業界では、中国や韓国の低価格タイヤとの競争が激化しており、大手タイヤメーカーは収益力が低下している。ミシュランは人員削減による固定費削減で収益力を強化するとともに、上級タイヤや新サービス、新素材、デジタル化への投資を拡大して将来成長に備える。

 ミシュランとタイヤ業界世界トップの座を争うブリヂストンも南アフリカのポートエリザベス工場を昨年11月に閉鎖し、フランスのべチューン工場も2021年内の閉鎖を決定するなど、生産拠点見直しによるコスト構造改革と、プレミアムビジネス戦略を強化している。コンチネンタルも29年までに世界で従業員を合計2万人削減する計画。

 競争激化や脱炭素に向けた取り組みなど、経営を取り巻く環境が大きく変化する中、タイヤ大手2社は、生き残りに向けて事業構造改革の推進に乗り出す。