政府は7日、新型コロナウイルスの感染拡大が著しい1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)に対し、「緊急事態宣言」を再発令した。期間は8日から2月7日までの1カ月間。企業にテレワークによる出勤者数7割減を要請するほか、住民に対して午後8時以降の不要不急の外出自粛を求める。政府が多くの感染のきっかけとみる飲食店の午後8時までの営業時間の短縮も促す一方、国民生活の維持に欠かせない自動車関連事業者は前回同様、対象にはしなかった。しかし、宣言で全国トップ級の市場である首都圏の経済活動の一部が制限されることで、自動車産業に波及する恐れもある。
7日夕方に首相官邸で記者会見した菅義偉首相は「1カ月後には必ず事態を改善させるよう全力を尽くす」とし、国民に理解と協力を呼びかけた。新型コロナの新規陽性者数は都内で同日、初めて2400人を超えるなど感染爆発の様相を呈している。同じ経済圏の1都3県だけで全国の半数以上の陽性者を出す深刻な状態に「大変な危機感を抱いており、何としても食い止め、減少傾向に転じさせる」として宣言の再発令を決断した。
今回の緊急事態宣言では前回に比べ、業種や地域などを絞り込んで対策を進める。菅首相は「この1年間で政府として、かなり多くのことを学んできている」とし、感染抑制に効果的なポイントに的を絞ることで、早期の収束を目指す。これにより、経済社会活動への影響を最小限に抑えていく。
また、不要不急の外出自粛やテレワーク拡大の要請によって、対象地域では人流の大幅な減少が見込まれる。宣言解除まで長引けば、地域経済を疲弊させ、巡り巡って自動車を含む多くの事業者の経営に響きかねない。菅首相は雇用調整助成金や無利子・無担保による融資など企業の資金繰り支援に「十分な資金を用意しており、手続きも簡単にする」とし、事業や雇用の継続にも全力を尽くす考えも示した。