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 警察庁がまとめた2020年の全国の交通事故死者数(発生から24時間以内)は、前年比11・7%減の2839人となり、統計が残る1948年以降で初めて年3千人を下回った。4年連続で戦後最小も更新した。ユーザーの安全意識の向上と合わせ、新車市場で緊急自動ブレーキをはじめとする先進運転支援システム(ADAS)の普及が後押ししたとみられる。加えて、新型コロナウイルス感染症で移動自粛が求められたことも死者数の大幅減につながったと考えられる。一方で、2020年までに24時間死者数を2500人以下とする政府目標は未達となり、今後もさらなる取り組みが求められそうだ。

 20年の交通事故による負傷者数は同20・2%減の36万8601人となり、16年連続で前年を下回った。減少幅も前年実績から8・0㌽拡大した。交通事故の発生件数も同18・9%減の30万9千件と大きく減少している。死傷者や事故件数を減らすことができた要因の一つには、車両の安全機能の進化が考えられる。自動車メーカー各社は自動運転時代を見据え、ADASの技術向上にしのぎを削っている。ここ数年は歩行者の動きも認識して車両制御に取り入れるシステムもあり、より高度なADASの普及が死傷者削減を後押しした。

 さらに、20年度末までには世界初の自動運転「レベル3・条件付自動運転車(限定領域)」の認証を取得したモデルの国内発売も予定されている。引き続きこうした高度な安全機能を備えたモデルの投入が各社で続くのは間違いなく、今後も死傷者の削減につながる重要なキーデバイスとなりそうだ。

 20年は新型コロナによる人流の減少が、死傷者の削減にもつながった。月別の24時間死者数はすべての月でマイナスだったが、最初の緊急事態宣言が発出された4月は前年同月比19・9%減の213人と大幅に減らしている。都道府県をまたぐ移動自粛が広がったほか、感染拡大を抑えるため、大型連休中における高速道路の通行料割引の適用除外措置も要因とみられる。また、昨年は夏休みやお盆の期間中、レジャーや帰省を見合わせたユーザーも多く、高速道路の通行量も大きく減少した。これに伴い、8月の死者数も同29・1%減の197人にとどまったことも通年実績に奏功した。

 21年は延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催も予定されるなど、人やモノの流れが活発になると見込まれる。新型コロナの影響も薄らぐことが期待される中で、20年より交通事故をさらに減らしていくにはハードルが高いのも事実。政府は現在策定を進めている第11次交通安全基本計画を今年からスタートさせ、将来の死傷者ゼロに向けた対策のスピードアップに努める考えだ。