日産自動車は12日、2021年3月期の営業赤字が従来予想と比べて1300億円少ない3400億円になりそうだと発表した。全需が想定を上回る回復傾向になったほか、米国事業における販売の質向上や固定費削減で赤字幅を縮めることができる見通しとなった。内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は「下期の先行きが不透明な中でより一層と財務規律を徹底し、事業基盤を強化していかなければいけない」と述べ、収益体質の改善をさらに進める意思を示した。

 20年7~9月の世界販売台数は前年度比16.9%減の105万6000台で売上高は同27.1%減、営業損益は48億円の赤字だった。売上高、収益面ともに競合他社と比べて依然として厳しい状況だったものの、米国のバンの撤退や工場の閉鎖などで固定費を約12%削減した効果で収益体質は改善した。第2四半期単体のフリーキャッシュフロー(自動車事業)は3110億円の黒字だった。

 通期の世界販売台数見通しは、新車需要の回復に合わせ、従来見通し比1.0%増の416万5000台に上方修正した。地域別では日本(1.9%増)、米国(1.1%増)、欧州(1.1%増)となった一方、中国は1.0%減に見直した。