トヨタ自動車の業績が急回復している。6日に公表した最新の今期予想では、連結売上高が前期の約9割に戻り、営業利益も1兆3000億円(期初予想は5000億円)にまで回復する。特に中国や北米市場が好調で、新型コロナの影響が小さくなれば利益がさらに上振れする可能性もある。豊田章男社長は「この6カ月の頑張りもさることながら、(社長就任以降)11年間の取り組みにより、トヨタという企業が少しずつ強くなってきたからだと思う」と上方修正の理由を語った。中間配当は、5円の特別配当を加え1株105円とする。

 連結売上高予想は期初予想から2兆円積み増し、26兆円とした。連結販売台数も前回予想より30万台増やして750万台(前期は896万台)を見込む。グループ総販売台数は同32万台増の942万台だ。近健太執行役員は「販売の回復ペースは前年同期に対し、第3四半期は100%、第4四半期は105%を見込む」と説明した。

 業績回復は国内や欧米、中国がけん引する。コロナ禍で4月はほぼ生産できなかった北米の生産実績は9月に前年同月比8%増、欧州でも同20%増となった。北米では新型SUVなどが好調で、インセンティブ(販売奨励金)の効率的な配分もあって第2四半期は営業増益になった。日本でも「ハリアー」「ヤリスクロス」など新型車を中心に受注残が積み上がる。また中国事業の4~9月期は、連結子会社の営業利益、持分法投資損益とも前年同期を上回り、合わせて2000億円近い利益を計上した。

 近執行役員は今期予想について「先行きが安定して見通せるかというと、まだそういう状況ではない。1カ月ずつ見ながら、台数を積み上げながら、という状況は今後も変わらない」と説明しつつ「変革に向けた成長投資、SDGs(国連による持続可能な開発目標)の取り組みは加速させていく」と語った。

 同日、発表した20年4~9月期連結業績は、売上高が11兆3752億円(前年同期比25.9%減)、営業利益が5199億円(同62.8%減)、最終利益が6293億円(同45.3%減)だった。後半の7~9月期は前年同期の8割近い5060億円の営業利益を稼いだ。