沖電気工業が目指すスマートシティ。AIエッジ技術を活用し社会課題の解決を進める

 沖電気工業は、2022年度を最終年度する新中期経営計画「中期経営計画2022」を策定したと発表した。ハードウエア事業の統合や海外事業の抜本的な見直しなど事業ポートフォリオの再構築を進めるとともに、生産機能の再編を含むものづくり基盤の強化、調達や人件費などコスト改革を進める。人工知能(AI)を活用したエッジ(現場)領域での事業展開などを成長戦略と位置付け、22年度の数値目標として営業利益200億円、自己資本比率30%の達成を目指す。

 事業ポートフォリオの再構築では「コロナ禍など市場環境変化の加速を鑑み、強みを生かせる領域に注力する」(鎌上信也社長)。メカトロニクス・プリンター・EMS(受託生産)のハードウエア3事業の統合を進めており、今後も開発リソースの融合を進める方針だ。

 海外事業は抜本的に見直す。プリンター事業は、世界で勝てる競争力のある業務用ラベルプリンターなどの機種と国内市場に集中する一方、北米販売は年内で終了し、欧州は人員削減、拠点統廃合などで効率化を図る。2021年4月には沖データを沖電気本体と合併。国内プリンター事業を強化する。

 モノづくり基盤強化では、「コスト競争力、品質、スピードを実現するため、最適拠点での生産、コスト低減に向けた改革を実行する」(同)。ハードウエア事業の統合で700人規模の開発体制を整えるとともに、生産機能の最適化を目的に生産子会社を統合、再編する。

 また、コストや納期、生産数など顧客が求めるニーズに合わせて最適な拠点で生産する「バーチャルワンファクトリー」を実現するため、プロセスやシステム、ITの統合を進める。

 コスト改革では、3年間累計で調達コストを100億円、人件費・経費を40億円削減する。「グループ全体で調達部門を統合し、サプライチェーンマネジメントを強化することで、さらなるコスト低減を進める」(同)方針だ。

 新中計の中で成長戦略と位置付けるのが、AIエッジ技術。自然災害や労働力不足、交通問題など7つの社会課題をターゲットに、社会インフラの高度化、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する。

 新中計期間中における投資については、M&Aを含む設備投資として700億~800億円、研究開発費として400億円を計画している。