オンライン会見での永守会長兼CEO

 日本電産は、電動車向け駆動用モーター事業を強化すると発表した。環境規制が強化される中国や欧州での電動化シフトの本格化で、電動車向けモーターの需要拡大が見込まれるため、現地での生産能力を増強している。将来的には米国自動車メーカーの電気自動車(EV)向けの受注も見込まれることから、メキシコ工場での生産も検討する。2030年にはEV向けモーターのシェア40~45%を視野に投資する。

 26日の21年3月期第2四半期決算説明会で明らかにした。同社の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は「25年がEVの分水嶺になる」と述べ、EV市場が急拡大すると予想、駆動用モーター事業を強化する構え。

 同社によると、25年に駆動用モーターの受注が引き合いを含めて年間240万台を超えており、シェア25%を達成する見込み。中期戦略目標で掲げる「25年に200万台」を上回るペースで受注が拡大しているという。今第1四半期では同社製モーターを採用した自動車メーカーは15社だったが、第2四半期には22社に増えた。取引先は中国や欧州の自動車メーカー向けが大半を占めるが、日本、韓国、米国からもそれぞれ1社ずつ受注するなど、納入先が拡大している。

 モーターの受注拡大を受けて生産体制も強化している。中国では、大連に21年に生産能力年100万台の工場を建設中。広州汽車グループとの合弁会社も設立し、11月をめどに稼働する。浙江省の工場では、ラインを増強して21年8月に生産能力を年100万台に引き上げる。欧州にも年産100万台規模の工場を新設する。

 開発体制も強化している。9月に中国・蘇州市の開発センターを開所しており、21年には大連市に1千人規模のセンターを設ける。

 永守会長は「中国、欧州とくれば次は北米」と予想、メキシコ工場で駆動用モーターの生産を視野に入れる。

 同社では30年にグローバルでのEV市場が1千万台になることを想定し、これに向けシェア40~45%の獲得を目指し積極的に投資していく方針を示した。