日本で生産し、欧米に輸出する環境対応車に国内より割安な価格を設定するモデルが増えている。ホンダは、寄居工場で生産する「ホンダe」の日本での販売開始価格を451万に設定したのに対し、ドイツでは3万2997 ユーロ (約412万円)、英国では2万6660㍀(約372万円)に設定した。欧米に投入する環境性能が高いモデルに戦略的価格を設定し、厳格化する環境規制に対応する狙いだ。

 ホンダが意識するのが2021年に強化される欧州の二酸化炭素(CO2)排出規制だ。新規制では走行1㌔㍍当たりのメーカー平均CO2排出量(NEDCモード)を95㌘以下に抑えなければ、1㌘超過するたびに1台当たり95 ユーロ の罰金が科せられる。ただ、19年の時点で達成している会社はなく、自動車メーカーの罰金総額は数兆円になるとの見通しだ。各社は平均排出量を抑えるために電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の投入を急ぐ。

 ホンダeもそのうちの1車種だ。ホンダeの開発責任者を務めた一瀬智史氏は「欧州の排ガス規制に対応するために開発が始まった」と、その開発のきっかけを振り返る。

 ホンダは、罰金の支払いを避けるための努力目標の意味を含めて、ホンダeの欧州の年間販売計画を約1万台に設定したが、これは19年度の欧州新車販売の約1割を占める高い水準となる。装備の差は日本と欧州でほとんどないものの、補助金なしの販売開始価格で50万円近く欧州仕様の価格を安く設定し、国内の10倍にあたる年販計画の達成を目指す。

 欧州の規制対応も狙ってマツダが投入した「スカイアクティブX」は車両本体価格は日本と同水準だが、ディーゼル車との価格差を縮めることでXに誘導する戦略を取っている。

 台数を見込みにくい環境対応車に戦略的な価格を設定する動きは米国向けのモデルでもみられる。日米で仕様は異なるものの、トヨタ自動車は「プリウス」や「RAV4」のPHVを日本よりも割安な価格で米国投入したほか、ホンダ「クラリティ」のPHVは200万円近い価格の開きがある。

 台当たりの利益よりも販売台数を重視した海外での価格戦略は、欧米の環境規制に対応するために必要不可欠だが、その分の割を食う形になる日本のユーザーにとっては納得しにくい部分もある。EVなど次世代の環境対応車を国内で本格普及させるには価格競争力の実力値を高める必要がある。