デジタルツインアナライザーの概要

 富士通は、車載カメラの映像を自動解析し、車両挙動や周囲状況などの情報を高精度に三次元データ化する映像解析プラットフォーム「デジタルツインアナライザー」を9月25日に発売すると発表した。車両種別や白線種別など詳細な属性認識を可能にすることで、時間の経過による状況変化を含めた周囲の環境を正確に把握できる。損害保険業務の効率化や道路管理業務の高度化、物流でのルート最適化を支援する。販売対象は、コネクテッドカーから収集される自動車ビッグデータを活用してサービスを提供する事業者を想定する。

 新製品は、富士通研究所(原裕貴社長、川崎市中原区)が開発したAI(人工知能)画像認識技術と高精度三次元位置推定技術を実装した。歩行者や車両、道路、建物の三次元位置・軌跡情報を高精度に推定することで、車両状態や交通状況の分析、予測が可能となる。

 車両や白線、信号機といったオブジェクトを認識するだけでなく、乗用車やバス、トラックといった車両の種別、横断歩道やセンターラインといった白線の種別などの詳細属性まで認識する。時間による変化も検出するため、例えば自車や周辺車両の速度の推定も行う。自動車保険サービスでは、事故発生時の自車進行軌跡や信号の色変化・横断歩道の有無といった事故状況を自動で解析でき、効率的な事故対応を可能とする。

 また、電柱など画像上の特徴点を追尾することで、カメラの向きや位置、高さを自動で推定するため、専用機材や高度な取り付けが不要だ。市販のドライブレコーダーでも高精度な推定が可能とする。

 2021年2月から、北米や欧州も含めたグローバルでの展開を予定する。

 なお、車載カメラからの映像を一度、管制センターに集約するため、「リアルタイムの解析は追求しておらず、自動運転技術への活用は現状、視野に入れていない」(同社)としている。